木星氷衛星探査計画「JUICE」搭載:
サブミリ波観測器 (テラヘルツ波分光計、SWI)

Off

木星氷衛星探査計画 /ガニメデ周回衛星 「JUICE」は欧州宇宙機関(ESA)が主導するミッションで、装置開発とサイエンスチームの両方に日本も大きく関わっています。日本が関わるJUICE搭載機器について、一つずつ詳しく解説しています。ミッションの概要についての記事は [こちら]です。

出典: Max Planck Institute for Solar System Research
訳:笠井 康子(NICT、SWI-Japan主任研究者)


左:テレスコープと受信機ユニット. 右: 受信機ユニットの内部 (MPS : Max Plank Institute for Solar System Research) .

テラヘルツ分光計 (SWI) は木星のガリレオ衛星であるガニメデ、エウロパ、およびカリストのハビタビリティを探査するためのデータを提供します。また,木星中層大気の気象構造や大気成分を測定することにより,木星大気構造を明らかにします。SWI はテラヘルツ波ヘテロダイン分光計であり、スペクトル分解能107で約520µm (530 GHz – 625 GHz) および 250µm (1080 – 1275 GHz) の波長範囲の2つのスペクトル範囲を測定します。

センサのブロックダイアグラム (MPS).

SWIの特徴は以下の通りです。

・木星成層圏におけるダイナミクスと分子組成の理解、および下層と上層の大気結合の詳細な特性評価を行います。

・ガリレオ衛星の薄い大気圏の分子組成の理解により前例のないユニークな特徴を見出します。「その分子がどうしてその量だけそこにいるのか?」の原因を明らかにする過程で大気組成のソースとシンクのプロセスを決定し,木星の磁気圏との相互作用などを理解します。

・木星とガリレオ衛星の大気中の支配的な同位体比を観測的に決定することで、木星系全体の起源と進化を推定します。

・氷衛星の表面と表面下の特徴とその組成を測定することで、氷衛星内部の化学進化を推定します。また、エウロパなどで氷火山活動によって引き起こされたプルーム中の分子組成を決定することで海洋の状態を推定します。

 観測する分子の検出限界(MPS).

関連リンク:
JUICE: 日本も参加するESA主導ミッション、いよいよ氷衛星へ向けて打ち上げへ
JUICE Japan ウェブサイト